東西対抗剣道大会観戦記

第71回全日本東西対抗剣道大会観戦記 
 去る、令和7年9月7日

 

石川県「いしかわ総合スポーツセンター」に於いて本大会が金沢の地で初めて開催されました。

選手として山本雅彦先輩(大阪)、友弘浩二先輩(山口)、竹中健太郎先輩(鹿児島)、西尾明日奈先輩(熊本)

の4名、また全剣連役員として蒔田実先輩(全剣連副会長・千葉)、濱崎満先輩(全剣連常任理事・東京)、

更に本大会初めての試みとして音声配信による実況解説者として石田利也先輩(全剣連常任理事・東京)が参加されました。

 まずは、女子の部から始まりました。西尾先輩は西軍7将として大西ななみ選手(福井)と対戦しました。
両者は昨年度に全国教職員大会の個人戦の決勝戦で剣を交えています。開始早々に西尾選手が小手を放つが不十分、
2回目の鍔競合いとなった刹那、大西選手が引き面を放ちこれが一本となりました。その後取り返すべく諸手突きから面、
小手と果敢に技をくり出しますが、時間切れとなり一本負けとなりました。敗れはしましたが、正々堂々と正中線を攻め、
そして真っ向勝負を仕掛ける姿に感銘を受けました。

 女子の部が終了後、続いて男子の部が行われました。西軍12将竹中先輩が権瓶功泰選手(東京)と対戦しました。
竹中先輩の凛とした構えと華麗な足捌きから気で攻め入り、突きから面、小手と果敢に攻めるが時間となり延長へ。
更に中心を割って一本を取りに行くものの時間切れとなり引き分けとなりました。

 次に8将の友弘先輩が登場し、地元藤井勝司選手(石川)と対戦しました。序盤友弘先輩が、藤井選手の出頭に小手を
放つが不十分、互いに機を見計らい技をくり出し数合後、乾坤一擲互いに面に出るが相手の方が一瞬早く面を捉えていました。
二本目、取り返すべく間を詰め果敢に技を出すも決まらず、逆に出頭の小手を打たれ惜敗ました。

 PL学園卒業生の最後を飾ったのは西軍副将の山本先輩。山崎尚選手(愛知)との対戦となりました。
「始め」の号令で互いに立ち上がり気を発し張り詰めた中、静かにそして雄々しい火の構えから、諸手小手、
そして上段からの片手面と惜しい技が続きます。中盤に差し掛かり、山崎選手が面を打ち込んできたところを、
胴に返すと見事な一本となりました。 二本目以降も積極的な攻防が続く中、上段の構えから気をみて片手小手に打ち込み
上段に構え直そうと右手を上げようとした刹那、山崎選手の小手が決まり、間もなく時間切れとなり延長戦へ。
その後も互いに一歩も引くことなく捨て切った技が随所に見られましたが引き分けとなりました。試合結果は、
女子の部は西軍が、男子の部は東軍が勝利を収め本大会の幕引きとなりました。4名の先輩ともに終始PL剣道を貫き、
観戦に来られた剣士たちに大いに感動を与えたものと思います。

 本大会は、「令和6年能登半島地震・奥能登豪雨災害復興記念」として開催され、客者約1800人という近年まれにみる
数字で大盛況となりました。また音声配信の石田先輩の解説が大変好評で「試合の見どころや駆け引きを分かりやすく解説し、
より剣道に対する興味とやる気が湧いてきた。」等の意見が寄せられました。地元石川県剣道連盟を代表してお礼申し上げます。

 最後になりますが、天心無限會皆さま方の益々のご健勝とご多幸、
そして当會の更なる隆盛を心より祈念申し上げ観戦記とさせて頂きます。

  

 田中陽介(石川県・25期生)